月とタバコ

本の感想とかもろもろ

8冊目 ロスト・シング

オーストラリアの絵本作家ショーン・タンの「ロスト・シング」という絵本を読みました。ショーン・タンという名前は知らないという人でも、絵本「アライバル」をご存知の方はおそらくいらっしゃるはず。「アライバル」を書いたショーン・タンのデビュー作に当たるのが本作「ロスト・シング」です。

 

お話は赤い変な無機物と有機物の間のような、存在を認知されていない生物?がひとり迷子になっているのを主人公の男性がみつけて、戻る先を探すという話。途中廃品回収場所みたいなところに一度連れていくも、結果このなぞの生命体?が喜びそうな場所を見つけて帰るべき場所が見つかってよかったね。って話。これだけ綴っているとつまらなそうだけど、そんなことはない。お子様にはインパクト欠けるかもしれないが、大人はちょっと感じることがあると思う。

 

というのも、訳者があとがきでテーマが「帰属」や「帰るべき場所」という風に述べている。それを踏まえて読むと、迷子になっている生命体は、迷子ではなく、帰る場所が奪われた可能性もある。帰りたくても帰れない。この子にとっ本来所属している場所、学校・会社・家庭・なにかしらのグループ・・・。そこからはぐれてしまったと読み取ることができる。そう考えると、決して元々の場所が帰るべき場所である必要はなく、自分に適した場所を見つけることが大事なのではないのか?そういうことを示唆しているように思えた。

 

絵本のいいところはメッセージを大々的に示さず、ソフトに示してくれていること。そして希望をふんわりもたせてくれること。そう感じた。

 

絵のタッチが緻密で好きだけど、アライバルのほうがもっとすごかった記憶がある。

 

 

ロスト・シング

ロスト・シング