月とタバコ

本の感想とかもろもろ

9冊目 よるのふくらみ

窪美澄さんの「よるのふくらみ」という小説を読みました。300ページ弱の小説なのに、読むのに時間がかかったのは、完全に私の読書体力の衰え。どうでもいいですが。

 

U-18小説とかに該当するのかしら。29歳になる女性「みひろ」が、結婚の約束をした幼馴染のパートナー圭祐と一緒に暮らして2年になるのだけれど、セックスがそこにない。セックスレスな状態。みひろはしたい気持ちがあるのだけれど、圭祐には身体の問題が・・・。そこに圭祐の弟が介入してきてややこしいことに。

 

愛とセックスの関係性についての小説だと思うんだけど、愛=セックスではないという簡単な話ではなくて、愛の一部にセックスが含まれているのかな?と読んでいて感じたところ。セックスがあれば充実度が増すのかもしれないが、あくまでそれだけのものであって、それがすべてではないということ。セックスが無くても愛し合うことはできるし、その当事者の形があるということ。ひとそれぞれと言えばそれまでなのかもしれないけど、でも本当にそんな感じ。お金と一緒かなとも感じた。あるに越したことはないけれど、なければ不幸せ?というとそうともいえない。ただ、かなり不便であったり不満は出るのかもしれないが。

 

途中、圭祐の弟が里沙さんと最後の夜を過ごすシーンがあるのだけれど、私はそこでジーンときてしまった。お互いがお互いを思って別れる瞬間って、こんなにも切なくて、どうしようもないものなのかって。

 

あと弟の不動産関連で住んでいた川島さんだったかな?(調べる元気はない)その人は奥さんに逃げられてしまい、体調崩して入院するシーンがあるのだけれど、その際に「女性はただ相手をしてほしい、話を聞いてほしいっておもってる。それくらいかまってやれないんじゃだめだ」みたいなこと言うんですね。たぶんかなり違うんですけど。でも、もともと傍にいたい。近くにいたい。ただ一緒にいたい。それで結婚したり、付き合っているのに、仕事や外部の干渉で溝ができる。一緒にいるだけですら難しいこの世の中って・・・って思ってしまった。

 

主要メンツについてはそこまで。みんな各々の立場で物語がすすむから、各々の気持ちが分かるし、一方で誰かが悪いとも言えない。もしかしたら女性が読めば、批難の矛先は同じ女性の「みひろ」かもしれない。乗り換えみたいになってるしね。でも、悪いとは思えないんだよな・・・。むしろ切ない。

 

大きくネタバレをしたくないので避けますが、結局みんなそれぞれの道を歩むことになる。おそらく誰しもが、小さな十字架背負って歩むことになる。幸せになるかは不明だけど、新しい道を歩めたことが大事なんだと思う。

 

 

よるのふくらみ (新潮文庫)

よるのふくらみ (新潮文庫)